活性酸素と神経細胞がキズつく仕組み

神経細胞は互いに繋がり合って巨大なネットワークを形成し、情報のやり取りを行っています。神経細胞間の情報伝達を行う時には神経伝達物質を介して行います。通常、神経伝達物質の濃度は制御されていますが、虚血やてんかん発作などが起きると、神経伝達物質の1つであるグルタミン酸の濃度が急激に高まります。グルタミン酸はアミノ酸の一種で、神経細胞を興奮させる作用があります。グルタミン酸が多く出過ぎると、神経細胞を過剰に興奮させ、神経細胞にダメージを与えて細胞死をもたらすと考えられています。これを興奮毒性と呼びます。興奮毒性によって引き起こされる神経細胞死のメカニズムに活性酸素が関わっていると言われていますが、いつ活性酸素が発生するのか、また活性酸素はどのタンパク質をキズつけるのかという事は、まだよくわかっていません。

グルタミン酸に似た天然の物質で興奮毒性を引き起こすカイニン酸という薬剤をラットに投与して、興奮毒性による神経細胞死の実験モデルとして使用しています。カイニン酸を投与したラットは神経細胞死を起こします。カイニン酸投与後の時間経過を追っていくと、活性酸素による細胞のキズは、かなり早い時間にできる事が分かってきました。また同時に、特定のタンパク質が活性酸素によってキズついており、活性酸素からの攻撃に特に弱いタンパク質がある事も分かってきました。